久しぶりの、何も予定がない休日。
こんな日は、目的もなくふらっと散歩にでかけます。
普段から歩いているはずの道なのに、新しい景色が見えてくる。散歩って良いなあ。
そんなことを考えていると、見慣れないものが目に飛び込んできました。
―――こんなところに、ギャラリーがあったんだ。
なにかに吸い寄せられたかのように、階段を降りていきました。
少し重いドアを開けると、壁一面の絵画がお出迎え。どれも個性的で、目を奪われてしまいます。
しかしその中でも、一際わたしを惹きつけるものがありました。
癒やされるような、優しいような、はじめての感覚。
何かをはっきり描いているわけではないのに、独特の質感と色合いに心が動かされました。
家に帰ってきてからもあの作品が頭から離れません。
色々調べてみて、ようやくたどり着いた、「テクスチャーアート」という名前。
テクスチャーとは、英語で質感や構造、手触りと言った意味を持つ言葉です。
つまりテクスチャーアートとは、その名前の通り質感を楽しむアートということになります。
何かを細かく描き込んだり、じっくり観察する必要はなく、ただ自分の思うがままに色を乗せていく。
そうして出来上がるのがこの作品です。
昔から絵を書くことが得意ではなかったけれど、これなら自分を表現できるかもしれない。
そう考えて、わたしも実際にやってみることにしました。
使用する道具は、キャンバス、ペインティングナイフ、専用のペーストと質感を生み出すための砂。
そして、ペーストに色を付けるための絵の具です。
準備ができたら、家具や洋服につかないようにカバー、エプロンを付けて作業開始です。
描くのは、「ツインズ」という対になった2つのテクスチャーアート。暖色、寒色の色の違いを生かしたおしゃれなインテリアになること間違いありません。
まずは各色の絵の具を少しずつパレットに乗せ、自分好みの色になるまで混ぜ合わせていきます。
色々な組み合わせを試しながら理想の色を見つけましょう。
色ができたら、その上にペーストを乗せます。
こうすることで好きな色味のまま、独特の質感を出せるペーストが出来上がっていくんです。
ここまで終われば、少しずつ砂を混ぜ、実際にキャンバスに描き始めていきましょう。
左から右、右から左、時折上下にペインティングナイフを動かしてみたり。
このときに注意すべき点は、ペインティングナイフの先端部分を使うということ。全体を使って塗ってしまうと、質感の違いが出にくくなってしまいます。
大体塗れてきたら、その上から砂の混ざったペーストを乗せてみたり。
わたしの思うまま、作品を仕上げていきます。
対となる寒色を使った作品も塗り終えたら、どちらも1日置いて乾かし、完成です。
「なんか良い」と思える、そんな作品に仕上がりました。描く対象がないからこそ、わたし自身を心から表現できるんです。
わたしにしか描くことのできない、唯一無二のアートの完成です。
完成した作品を玄関先に飾れば、家に帰ってくるたびに初めてテクスチャーアートに触れたあのときの感覚が蘇ります。
今までは絵を描くことに苦手意識があったし、家に自分の絵を飾るなんて以ての外だと思っていたけれど、いざやってみるとこんなにも簡単で、楽しいものでした。
マンネリしがちだった毎日も、テクスチャーアートのおかげで鮮やかに彩られていきます。
そう、これがわたしにしかできない、わたしだけの芸術。
▼【テクスチャーアート 超入門講座】
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