【連載】楽しみながら「和」を感じる-練り切り講座- - ミルーム

【連載】楽しみながら「和」を感じる-練り切り講座-

目次

①世界に誇る、日本の伝統文化


わたしたちの住む日本には、先人たちが紡いできた伝統文化があります。


世界的に注目を浴びている日本文化ですが、意外と現代を生きるわたしたちには縁遠いものになっていませんか?



【楽しみながら「和」を感じる】では、意外と非日常になってしまいがちな日本の伝統文化を、楽しみながら体験できるものをご紹介していきます。


日本人であるわたしたちにとって、大切なものを思い出せるかもしれません。


第2回である今回は、練り切りについてご紹介していきます。


②練り切りの歴史



練り切りを始めとした和菓子の起源は、縄文時代にまで遡ると言います。

当時はクッキーのような加工物から始まり、弥生時代になると米や穀物の粉を使用した餅や団子が作られるようになりました。


平安時代に入ると、「椿餅」と呼ばれる餅菓子が登場し、貴族階級の中で大流行します。

このときの菓子は、天皇などの身分が高い人への贈り物として食されていましたが、鎌倉時代に入るとそれが一転します。



鎌倉時代には、多くの僧侶たちが海を渡って宋(現在の中国)に向かい、多くの技術を日本に持ち帰ってくるようになっていました。

それらの技術によって、和菓子文化の成長はどんどん早まっていきます。


そして室町から戦国、安土桃山へと時代を進める中で主に茶会のときのお菓子、「茶請け」として茶の湯文化の発展と同時に和菓子も種類や技術も増えていったとされています。



これまで発展してきた和菓子文化の中から、練り切りが誕生したのは江戸時代初期のことでした。

当時から日本文化の中心地として栄えていた京都で生まれた練り切りは、あっという間に全国へと広がっていき、その意匠を凝らしたデザイン性から、「芸術和菓子」としての地位を確固たるものにしたのです。



そんな歴史をたどりながら、現在まで進化を遂げ続けている練り切り。

ここからは、そんな練り切りの特徴についてご紹介します。


③練り切りの特徴



練り切りの特徴は、何と言っても情趣あるこのデザイン性です。

春夏秋冬の時期に合わせて桜や花火といった風物詩をモチーフとして作られることもあれば、動物や風景、さらには自然そのものまで表現することもあります。



そんなデザイン性の高さは、練り切り餡に加える「つなぎ」によるものだと言えます。


この「つなぎ」の材料には、求肥と呼ばれるもち米や白玉粉に水飴などを混ぜたもの、山芋などが使われています。

これを加えることで形を整えやすくなっているんです。


④練り切りの作り方



必要な道具は、抜き型や竹串、三角棒など、形を作るためのものと、餡に色を付ける色素、平板やオーブンペーパーなど、生地を伸ばしたり、置いておくために使うものなどとなっています。


今日作っていくのは秋明菊を模した形の練り切り。

これらの道具と、練り切り餡の準備ができれば作業開始です。



まずは粉末状の色素を水で溶き、着色していきます。

このとき、できるだけまんべんなく色がつくように気をつけましょう。



次に、着色していない本体用の練り切り餡を広げて、その中心に中身となるあんを入れこみます。

少し回しながら包んでいくと、きれいに仕上がるので是非試してみてください。



上手く包めたら、こんな形になるように指で押して整形します。

上側が少し平らになるように気をつけましょう。


本体用の餡ができたら、次は花びらを作ります。

平たく伸ばした練り切り餡から丸い抜き型を使って型抜いていくのですが、秋明菊の花びらの枚数はまちまちなので、そこまで神経質になる必要はありません。



これができたら、花びらを本体の上の乗せていく作業に入ります。



このように、きれいな円形をイメージして乗せていきます。

真ん中の穴には余った練り切り餡を上から乗せて、隠してしまいましょう。



次に、先程作っておいた色付きの練り切り餡を少しとって、三角棒の先端に詰めます。

詰められたら、スタンプのように先程埋めた穴の上に押し付けるだけで花芯の完成です。



最後に、黄色く着色した練り切り餡を茶こしに押し付けて細かく整形し、花芯の周りに乗せてあげれば出来上がりです。


⑤伝統的で美しい、芸術和菓子



今回ご紹介したのは、和菓子の中でも特に芸術性が高いと言われる練り切りでした。


まるで本物の自然のような色使いに、心躍ります。


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和菓子KOU 先生