「グラレコ」という言葉を知ったのは、ミルームの講座を見たことがきっかけでした。
名前は聞いたことがあったような、なかったような。
調べてみるとグラフィックレコーディングの略で、話していることや考えていることを文字やイラスト、図などを使ってわかりやすくまとめる方法なのだそうです。

会議の内容を記録したり、仕事で情報を整理したりするものなのかな、というのが最初のイメージ。
絵を描くことは嫌いではないものの、特別上手なわけでもない私には少しハードルが高そうにも感じていました。
ところが、講座を見ているうちに、その印象がだんだん変わっていきました。

グラレコでは、必ずしも上手な絵を描く必要はありません。
シンプルなイラストや文字、線や矢印などを使いながら、自分が聞いたことや感じたことを自分なりに整理していけばいいのです。
「これなら私にもできるかも」と思えて、受講してみることにしました。

講座では、グラレコとは何かという基本から情報を整理する考え方、文字やイラストの描き方、1枚の中にまとめていく方法まで順を追って学んでいきます。
特に印象に残ったのは、ただ聞いたことをそのまま書き写すのではなく、「何を残したいか」を考えながら描いていくということ。

全部を記録しようとすると大変ですが、「これは覚えておきたい」「ここは大事だな」と思ったところを選んで、そこから絵や線を加えていく。
そう考えるとグラレコは情報を記録するだけではなく、自分の頭の中を整理する方法でもあるんだなと感じました。

そして講座を見ていて意外だったのが、グラレコは仕事だけでなく、もっと身近なことにも使えるということでした。

「こんな使い方もあるんだ」と思ったのが、ラジオを聴きながらするグラレコ。
実は私、ラジオを聴くのが好きなんです。
家事をしながら、料理をしながら、ちょっとひと息つきながら。
画面を見る必要がないので、日々の暮らしの中に自然に入り込んでくれるところが気に入っています。

ただ、「あれ、こないだあのラジオで…なんて言ってたっけ?」そんなことが、けっこうあるんです。
パーソナリティの何気ないひと言が妙に心に残ったり、ゲストの話を聞いて「それ、いい考え方だな」と思ったりしても、別のことをしているうちに話はどんどん先へ進んでいきます。

「もう一度聞きたい!」と思っても、どのあたりで話していたのかわからなかったり、後から探そうと思っているうちに忘れてしまったり。
そんな私にとって、ラジオを聴きながらグラレコするという方法は、まさに目からうろこでした。

そこで、さっそく試してみることにしました。
といっても、話していることを全部書き取るわけではありません。
「この言葉、好きだな」「これは覚えておきたいな」と思ったところだけを、短い言葉でメモします。
そこに簡単なイラストを描いたり、言葉を線でつないだり、吹き出しをつけたり。

最初は「聴きながら描くなんて、ちゃんとできるかな」と思っていたのですが、やってみるとこれが思った以上に楽しい。
しかも、ただメモを取るのとは少し違います。
「私は今の話のどこが気になったんだろう」と考えながら描くので、ラジオの内容をいつもより意識して聴くようになりました。

そして描いたものをあとから見返してみると、小さな言葉やイラストがそのとき聞いた話を思い出すきっかけになってくれます。
「ああ、そうそう。こんな話だった!」忘れてしまいそうだった言葉が、絵と一緒に残っているのがなんだか嬉しくて。
きれいにまとめられていなくても、自分にとっては十分な記録になりました。

それからは、ラジオを聴くときに、近くに紙とペンを置いておくようになりました。
全部描こうとしないのも、続けやすいポイントです。
心に残ったひと言だけの日もあれば、話が面白くて気づいたら1枚のグラレコになっていた日もあります。
iPadで描けるのも気軽だし、好きな筆記具を使って紙に描いてみるのもよさそうです。

そして最近では、「今日はどんな話が聞けるかな」という楽しみに加えて、「今日は何を描こうかな」という楽しみも増えてきました。
お気に入りのラジオ番組を聴きながら、「この話もグラレコしてみようかな」「次はこのゲストの話を残してみたいな」と思うことも増えています。

グラレコを始めたことで、ただ耳で聴いていたラジオの時間が、少しだけ自分で楽しみをつくる時間に変わりました。
「もう一度聞きたいけど、聞けない」と思っていた言葉も、これからは自分の手で残しておける。
次にラジオをつけるときは、どんな言葉に出会えるのか。そして、どんな一枚を描くことになるのか。
そんなことを考えると、いつものラジオの時間が、前よりちょっと楽しみになっています。
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