Lisa
いちばん飲んでいるコーヒー豆は、たぶんコロンビアだ。ナリーニョ、ウィラ、カウカ、キンディオ。スプレモの名前を見つければ、つい手が伸びる。最近では、ピンクブルボンにも手を出し始めた。たまに別の産地を試したくなっても、結局は“コロンビアっぽさ”を探してしまう。フローラルで、酸味があって、少し野性的なもの。なぜそこまでコロンビア贔屓なのかというと、わたしはあの国で、完全にコーヒーデビューしてしまったからだ。当時はまだ珈琲に詳しかったわけではない。「そういえば産地として有名なんだっけ」くらいの認識だった。写真は、コロンビアへ向かう飛行機の窓から見えた景色。どこまでも続く密林。深い緑。雲。「こんな場所に本当に街なんてあるのか」と、不安になるくらい、冗談みたいにAmazonだった。けれど、街へ降り立てば、そこら中にカフェがあった。ボゴタ、カリ、サレント、ポパヤン。行く先々でスイーツと一緒にコーヒーを飲み、バスで街を移動するたび、窓の外にはコーヒー畑らしき斜面がずっと続いていた。その味が衝撃だった。フローラルで、酸っぱくて、果物みたいに香る。でも、その奥に少し土っぽい、湿った生命力みたいな余韻がある。それまで飲んでいた“苦い飲み物”としてのコーヒーとは、まるで別物だった。やたら近い雲を眺めながら、「世界は広いな」と、何度も思った。今日もコロンビアの豆を挽いては、あの時の景色を思い出す。湯気の向こうに密林を見ながら、小さく “caliente” と呟いてみたりするのである。
2026/05/10